『関ヶ原の役』

 ―日本の戦史―

旧参謀本部 編纂
(桑田忠親、山岡荘八 監修)

徳間文庫 刊

1994年1月15日(復刊初版・初版1965年)
440ページ 590円

評 価
★★

 

監修者のひとり桑田忠親氏は、戦国史研究の大家であり、泰斗・高柳光寿氏と並び評される歴史家であった。明治35年生まれ。大正15年國學院大學卒。東京大学史料編纂官補、立教大学講師を経て、國學院大學教授。文学博士、日本古文書学会評議員などを歴任。『千利休』『太閤秀吉の手紙』など多数の著書があり、NHK時代劇ドラマの時代考証も担当。昭和62年没。

本書は、「大日本帝国陸軍参謀本部が、英知を結集して膨大な資料を解析・編纂。合戦の推移と政治情勢を克明に綴った。本書は、関ケ原を扱った本の中で、唯一、参謀本部が編纂したものである。文庫版で発行された不朽の名著が、熱い期待に応えて大判・豪華装丁でよみがえる。まさに第一級資料、関ケ原戦記の決定版」というもので、関ヶ原に限らず様々な合戦史・日本史が刊行された。明治時代、それらはいずれも権威性をもって受け容れられ、後世の研究に甚大な影響を及ぼした一連の書物群である。
しかし、その内容は明治期に黎明期を迎えた実証的歴史学とは相容れないもので、後世の軍記物も積極的に採り入れ、誤謬が多く、信憑性には疑問が呈されている。これはすでに古く高柳光壽氏が指摘したところである。

本書の構成は、

概説 桑田忠親
関ケ原の役 第一篇
第一章 起因と戦前の形勢
第二章 会津攻伐
第三章 両軍の計画と措置
第四章 両軍の諸戦
第五章 本戦
第六章 本戦後の措置
第七章 本戦前後の東西各地の諸戦
付記
封邑革新表
関ケ原の役 第二篇
第一章 戦役以前
第二章 戦役
第三章 戦役以後
戦国時代合戦年表

このうち、第一篇は、旧参謀本部の記述で、物語としては読めるものだが、史実の探求はできない。
一方、第二篇は、関ヶ原に関する史料を羅列したものである。
この中には江戸時代の軍記物も多く見られるが、日記などの一級史料も含まれている。分量が決して多くないのが残念だが、私はこの部分だけのために本書を購入したようなものである。

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城と古戦場

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