『武田信玄』
―物語と史蹟をたずねて―
土橋 治重 著 |
成美堂出版 刊 |
昭和51年5月1日(初版) |
評 価 |
著者の土橋治重氏は、1909年山梨県生まれ。朝日新聞社客員、日本文芸協会会員、日本ペンクラブ会員、詩人誌『風』主宰。1993年没。著書多数。 本書は、「物語と史蹟をたずねて」シリーズの一冊である。「戦国争乱の世、“甲斐の虎”と恐れられた信玄は、屈強な甲州軍団を率いて四隣を制圧し当代随一の軍略家として勇名を轟かせた。天下制覇の信玄の夢が大きくふくれ上がった元亀3年10月、織田信長包囲の大作戦を立て西上の戦いに上る途中、空しく陣没。本書は、広大な甲斐王国を築きながらも中原の鹿を射損じた英傑の生涯を、同国人の著者が活写する。 」 というもの。 このシリーズは、昭和当時、かなり人気を博したらしく、ほかにも「平家物語」「北条早雲」「斎藤道三」「織田信長」「平将門」などを土橋氏が記している。また、出版部数も多かったのか、古書店でもよく見かけるし、ネットオークションでも容易に購入することができる。 本書は、武田信玄の戦歴を物語調に書いていき、それに関連する史跡を紹介しているもの。ある程度の史料は追っているようで、そこそこ根拠のある記述にはなっている。”歴史書”とまでは言えないが、”小説”とは一線を画す内容である。 著者曰く、 |