『斎藤道三』

 

横山 住雄 著

濃尾歴史研究所 刊

平成6年10月(初版)
227ページ 2,500円

評 価
★★★

 

著者の横山住雄氏は、昭和20年生まれ。岐阜県史料調査員。主著に『新編犬山城史』(S43)、『岐阜城』(H2)、『織田信長の系譜』(H5)など。

本書は、尾張・美濃史の専門家で、土岐氏や斎藤道三に関する論文を多数発表されている横山氏による、斎藤道三の史書である。

戦国の梟雄・斎藤道三を、確実な史料に基づいて、その生涯を追ったものである。『信長公記』による部分も多いが、多数の古文書が紹介・検討されている点は、特に貴重な一冊だと言える。地元に伝わる軍記物も紹介されている。
また、新説をいくつか掲載しており、『斎藤道三の遺言状』は、本当に道三が書いたのかは疑問だとしている。

斎藤道三の史料は豊富ではなく、その史実をつむぐのは困難なようであるが、戦国史の大家であった桑田親忠氏の『斎藤道三』とともに、彼を知る重要な書籍であろう。
ただ、本書は、本屋で見たことは無く、たまたま古書店で購入したものであり、現在では入手困難かも知れない。

著者曰く、
「本書では、従来から知られていた古文書や江戸時代に書かれた書物のみでなく、金石文や禅僧の語録を駆使して、なるべく正確に記述するようにつとめたが、動乱に明け暮れた時代ゆえに、史料は格段に少ない。そのため、どうしても推定を重ねなくてはならない箇所も多い。」

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城と古戦場

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