『戦国の山城をゆく』

 信長や秀吉に滅ぼされた世界

安部 龍太郎 著

集英社新書 刊

2004年4月16日(1版)
240ページ 680円

評 価

 

著者の安部 龍太郎(あべ りゅうたろう)氏は、1955年福岡県生まれ。国立久留米高専卒業後、小説家を志し上京。図書館勤務のかたわら同人誌に作品を発表。89年から一年間「週刊新潮」で「日本史 血の年表」(刊行時『血の日本史』に改題)を連載、衝撃的なデビューを果たした。著書に『徳川家康の詰め将棋大坂城包囲網『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『密室大坂城』『風の如く 水の如く』『神々に告ぐ』『信長燃ゆ』『生きて候』などがある。

本書は、「かつて司馬遼太郎は、街道を通して歴史をみた。いま、安部龍太郎は、山城を通して歴史を語る。新たな歴史紀行文学の誕生だ!古来、家臣や領民を避難させるシェルターとしての役割をになっていた山城は、地域の人々の団結のシンボルであり、心の拠り所であった。ところが、鉄砲の伝来と織田信長の登場によって、山城は次々と攻め落とされていった。それは、山城を拠点としていた人々の団結と自由が奪われ、中央の権力に従属を強いられていく過程にほかならない─。歴史小説家の安部龍太郎氏が各地の山城を精力的に取材し、スケールの大きな独自の史観をもって戦国時代の大転換期を浮き彫りにした、本格的な歴史紀行文。」というもの。

岐阜城・岩村城・観音寺城・安土城・越前一乗谷城・小谷城・比叡山延暦寺・信貴山城・弥勒寺山城・丹波八上城・播州三木城・洲本城・紀州根来寺が掲載されている。

最近は城跡ブームなのであろうか?

本屋に行くと、こういった中世・戦国期の城郭を訪問する紀行文的な本が散見される。
『戦国の山城をゆく』とはいかにも購買意欲に駆られるものであるが、内容はいたって凡庸である。
この書によって攻城の参考になるような事は殊更ないし、付記されている城の歴史も、どこからかそのまま引用したものらしく、信用性に乏しい。

作家ゆえにこのような出版も許されるのであろうが、私たちにしてみれば、あえて本書を買わなくても、この程度の情報はネットを閲覧すればすぐに手に入るし、そこには、より実証的で求知心をそそられる優良なサイトが複数に存在している。

 

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城と古戦場

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