徳川家康の詰め将棋大坂城包囲網

 

安部 龍太郎 著

集英社新書 刊

2009年1月21日(1版)
206ページ 700円

評 価

 

著者の安部 龍太郎(あべ りゅうたろう)氏は、1955年福岡県生まれ。国立久留米高専卒業後、小説家を志し上京。図書館勤務のかたわら同人誌に作品を発表。89年から一年間「週刊新潮」で「日本史 血の年表」(刊行時『血の日本史』に改題)を連載、衝撃的なデビューを果たした。著書に『戦国の山城をゆく『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『密室大坂城』『風の如く 水の如く』『神々に告ぐ』『信長燃ゆ』『生きて候』などがある。

本書は、「関ヶ原以後、実は劣勢だった家康──。その大逆転の布陣とは?姫路城、名古屋城、彦根城、伏見城、伊賀上野城…大坂夏の陣までの15年間にわたる「長考」の軌跡。

大坂城包囲網とは、関ヶ原の戦いの後に、豊臣家や西国大名を封じ込めるために、徳川家康が築いた城郭群のことである。姫路城、名古屋城、彦根城、伏見城、伊賀上野城、等々、日本が誇る数々の名城群は、関ヶ原以後も強大な経済力を温存し、朝廷という権威を後ろ盾にしていた豊臣家との正面衝突を恐れた家康による、十五年がかりの持久戦の軌跡でもあった。本書は、それらの城を実際に訪ね歩き、戦国期最後の「詰め将棋」を読み解いた画期的な論考である。」というもの。

 

最近は城跡ブームなのであろうか?

本屋に行くと、こういった中世・戦国期の城郭を訪問する紀行文的な本が散見される。

一般にメジャーな中世城郭が紹介されている。いずれも『戦国の山城をゆく』と同様、訪問記にその城の歴史を付記するというものである。

とくに見るべき記事は無いが、残念なのは、これら城郭群が家康のどのような戦略による包囲網なのか、その辺の全国ベースの位置づけが分かりづらい点である。通読しているだけでは、何が「徳川家康の詰め将棋」なのか理解できない。

 

ところで安部氏は、長野県の城郭にも訪問しているらしい。それもかなりマイナーな山城もである。そのあたりの紀行文ならぜひ読んでみたいと思う。(集英社HP

 

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城と古戦場

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