『真説 本能寺の変

 

安部 龍太郎, 立花 京子 , 桐野 作人, 和田 裕弘 , 大牟田 太朗, 堀 新, 津田 勇, 藤田 達生, 谷口 克広, 石田 文一, 今谷 明, 久保 貴子

集英社 刊

2002年6月10日(1版)
196ページ 1,700円

評 価
★★★

 

本書は、本能寺の変に関する研究者である安部 龍太郎, 立花 京子 , 桐野 作人, 和田 裕弘 , 大牟田 太朗, 堀 新, 津田 勇, 藤田 達生, 谷口 克広, 石田 文一, 今谷 明, 久保 貴子が、それぞれの分野で自身の説を主張されている本で、明智光秀の信長襲殺は、単独で実行されたのか、黒幕がいたのか? 一人の女性の研究が、日本史最大の謎を解き明かす端緒となった。安部龍太郎氏と立花京子氏の対談をはじめ、真相に迫る12篇を収載。ミステリー本能寺の変、最新史料と新解説。なぜ、殺したのか?黒幕は誰か。 」というもの。

2002年とすでに古いものであるが、それぞれの主張は現在とさほど変わらないように感じる。

特に明智光秀が謀叛を起した理由について、百家争鳴のなかで有名な、”朝廷陰謀説”を説く立花 京子氏、”足利義昭陰謀説”を説く藤田 達生氏の説示が手軽に読め、便利な一冊である。

しかし、結論を言えば、両者の説は牽強付会の感が否めず、現在でもそれに拘泥しているのはちょっと滑稽ですらある。説得力があるのは、桐野 作人氏、堀 新氏の”単独説”であった。

それはともかく、ほかにも『本城惣右衛門覚書』『天正十年夏記』などの史料の解説、『愛宕百韻』の新解釈、家康の伊賀越えの分析など、興味深い論文が盛りだくさんである。

本能寺の変を知る入門として、適した書籍であろう。

 

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城と古戦場

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