『秀吉の経済感覚』

 経済を武器とした天下人

脇田 修 著

中公新書  刊

1991年3月15日(1版)
177ページ 560円

評 価
★★★

著者・脇田 修氏は、1931年(昭和6年)大阪生まれ、京都大学文学部卒業、龍谷大学助教授、大阪大学文学部教授を経て、同名誉教授、2001年より大阪歴史博物館館長。専攻は日本近世史。

本書は、「一介の足軽から身を起こした秀吉は、非運の最期を遂げた主君・織田信長の後を襲い、位人臣を極めて天下人の地位を我がものとした。この史上稀にみる成功の秘密は、恐ろしいばかりに経済の仕組みを熟知し、これを実行する才覚に恵まれていたからに他ならない。商品経済の本質を巧みに活用して、大名統制・検地・貿易などにより実権を掌握し、近世社会の産婆役を果たした“算勘にしわき男”秀吉の軌跡をたどり、その現代性を考える。
足軽から身をおこし,天下人となった秀吉のまれにみる成功の秘密は,経済の仕組みを熟知し,これを実行する才覚に恵まれていたからにほかならない。秀吉の軌跡をたどり,その現代性を考える。
」というもの。

これは、だいぶ前に古書店で200円で買ったもの。興味がわかず、すでに5年以上は本棚に放置されていた。
しかし、読んでみると、そんなにつまらない本でもなかった。

私は、本書の前半で縷々語られている蔵入地、太閤検地、石高制の改革といった、豊臣家の経済政策については、(あまり興味がなく)ほとんど知識もないので、何とも退屈な内容であった。
それに反して、後半の楽座市、豪商の活躍、秀吉の国際感覚といった章は結構面白く通読することができた。

経済感覚に天才的な才能を見せた豊臣秀吉を概観できる一冊である。

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城と古戦場

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