『信濃中世の館跡』

信濃史学会研究叢書5

信濃史学会 編

信毎書籍 刊

2000年10月30日(初版)
240ページ 2,500円

評 価
★★★

本書は、信濃史学会の『信濃の山城』『信州の山城』に続く長野県の城砦館の研究書である。

中世の館はその地方の重要な交通路沿いに設置されたものが多く、地域支配の拠点となっている。殿岡の堀ノ内、上伊那辰野町の堀の内、上原郷の館跡など、中世武士の館についての調査研究をまとめる」という一冊。

小穴芳実氏ら長野県の地元の研究者を主に執筆がなされている。なお、カバー紙は、信濃の城郭研究の第一人者である宮坂武男氏による諏訪上原城の鳥瞰図である。

長野県全域の17箇所(地域)の館跡が紹介されており、その内容はかなり専門的・詳細である。

殿岡「堀ノ内」、小井弖氏館跡、上伊那郡辰野町沢底の堀の内、上原郷の館跡とその城下町、伴野氏館、手塚氏居館、真田氏新旧居館、水内郡黒川郷島津氏館跡、北熊井城跡と町村館跡、島立郷と清水城、天正寺仁科氏居館跡、古厩氏館跡、西牧氏館跡、大妻館跡、細萱氏館跡、真々部氏館、堀金氏館跡が掲載されている。

このうち、わたしも何ヶ所か訪問したことがあるが、普通、館跡には堀と土塁が残っていればいい方で、表面観察では城郭よりも見どころが少なく感じてしまう。しかし、本書は、その館の歴史的背景までをも紹介する貴重な書籍ということができよう。

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城と古戦場

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