『武田信玄 城と兵法』

上野晴朗 著

新人物往来社 刊

昭和61年11月15日(初版) 2500円
248ページ

評 価
★★★★

著者は、1923年山梨県生まれ。歴史家・作家。山梨県立図書館郷土資料室、県立図書館塩山分館長を経て、執筆活動に入る。その間、山梨県文化財審議会委員、NHK大河ドラマ「武田信玄」の時代考証を担当。 主著に『定本 武田勝頼』』『山本勘助のすべて山本勘助『甲斐武田氏』『落日の武将武田勝頼ほか多数。

甲斐武田氏研究の重鎮の一冊。

内容は、甲斐の城館、烽火の研究、棒道の検証、金山、火縄銃にみる「竹束」、甲斐の忍者、上杉謙信の義塩の真偽とかなり広範に及んでいる。
そのいずれの論証もが、さすがと思わせる奥の深いものである。

著者は『甲陽軍鑑』を肯定的に捉える有力者であるが、『山本勘助』あたりでは、ややもすると『軍鑑』を盲信しすぎかと思われる記事も散見されたものの、本書では全体的に冷静に史料分析をされており、実証的で信頼の置ける専門書となっている。

また、内容は大変興味深く、面白い題材ばかりなので、一気に通読してしまった。武田ファンは購入して損のない書籍だと言える。

著書いわく、
「城郭史とか辞典類などはあっても、地方史の組み立ての中から、その実証としての史跡や遺構をとらえている本書のような性格の本は、まだまだ少ないように思われる。」

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城と古戦場

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