『信玄、謙信と信濃 』
小林計一郎 著 |
信濃毎日新聞社出版局 刊 |
1991年1月10日(初版) 1,400円 |
評 価 |
著者・小林計一郎氏は、大正八年(1919)長野県長野市に誕生した。長野県史編纂委員、長野郷土史研究会会長、信州短期大学教授などを歴任され、豊富な論文と的確な分析をもつ武田氏研究の大家であった。2009年没。『武田軍記』など多数。 本書は、川中島の戦いを中心とする武田信玄と上杉謙信の攻防を、それぞれの武将を中立に比較しつつ、歴史的分析を試みたもの。 個人的に、わたしは故小林計一郎氏の文献を大変信頼しており、また読みやすい名文で記されていると思っている。その点から集めた一冊。内容的には、史料を前提にした実証的なもので、かなり広範にわたって分析されている。川中島一騎打ち、謙信の塩送りの真偽、両武将の信仰、などなど興味深いものばかりで、一気に通読できてしまう。 一般向けの書籍のため、分量は少なく、それほど突っ込んだ研究まで書かれてはいないが、買って損のない一冊だと思われる。 著者曰く、 |