『山の民・川の民 』
日本中世の生活と信仰
井上鋭夫 著 |
平凡社選書 刊 |
1981年2月10日(初版) |
評 価 |
著者・井上鋭夫氏は、大正12年生まれ。東京大卒業。新潟大学助手、同学部教授を経て、昭和43年金沢大学教授となる。 井上氏は、いわゆる天才肌の学者であり、一向一揆の分野だけではなく、中世史、郷土史など、数多くの研究が残り、現在でも多大な影響を与えている。 本書は、「かつて鉱山採掘は修験者の経営するところであった。彼らは水源地を掌握し、太陽の運行を熟知し、金山の光明を背景に「護摩の灰」の霊力をもって民衆に臨んだ山の神の代官であった―「文献史料がないところにも歴史は存在する」という信念のもと、著者は残存文書の解読に挑み、地を這うような現地調査を組織する。中世以前の日本で、山や川辺に住む多くの非農業民は、いかに生き、やがてどのような運命をたどったのか。伝承に秘められた歴史の真実とは。民俗学、地理学、考古学をとり入れ、社会経済史、宗教史を綜合し、後の新しい歴史学の展開を用意した記念碑的著作」というもの。 第一章「白山への道」
こころざし半ばで急逝された井上氏の業績を惜しみ、東大教授の石井進氏らが遺文を編集した一冊だという。内容はかなり専門的で、かつ新潟県の地理的な知識も必要とされる。 |