『戦国 佐久間一族

  

楠戸 義昭 著

新人物往来社 刊
268ページ

2004年4月15日(初版)
2,800円

評 価
★★★

著者・楠戸義昭氏は、1940年、和歌山県に生まれる。立教大学社会学部を卒業後、毎日新聞社に入社。学芸部編集委員を経て歴史作家に。著書には『城と女 上巻・下巻』『家紋 秘められた歴史』『戦国女系譜 巻之一・巻之二』(以上、毎日新聞社)、『山内一豊の妻』(新人物往来社)、『天照の謎と正体』(学研M文庫)、『戦国武将名言録』(PHP文庫)、『知識ゼロからの「日本の家紋」入門』(幻冬舎)、『大奥炎上江戸城の女たち』(大和書房)など多数。 

本書は、「信長の出世の礎を作った盛重、信盛一族の栄光と挫折、盛政兄弟運命の賎ケ岳合戦など、織田信長が天下を目指した戦いの中で、捨て石となって支えた佐久間一族の真実を描く。 」というもの。

佐久間一族と言えば、重臣でありながら織田信長に追放された信盛賤ヶ岳で散った盛政がすぐに思い付く。彼らを含めて中世戦国時代の名族であったことは間違いないだろう。

その一族を専門書にした稀少な一冊である。

内容的には一応信用の置けるものであり、原典の明記が完全でない点が残念であるが、史料に基づいた記述にはなっている。佐久間氏に関心のある向きは通読されても良いのではないだろうか。

著者曰く
佐久間氏に真正面から取り組んだ著作は皆無である。それは滅び去ったどの名家にも共通することだが、資料が少なく、調査追求が非常に難しいことが一因にあるのだろう。だがそれ以上に、俗説によって作り上げられたイメージが強く、敬遠されがちな面もあったと思われる。

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城と古戦場

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