織田信長 男の凄さ・男の値打ち

 

桑田忠親 著

三笠書房 刊

1991年5月31日初版 450円

評 価
★★

著者は、戦国史研究の大家であり、高柳光寿氏と並び評される高名な歴史家であった。
明治35年生まれ。昭和62年没。大正15年國學院大學卒。東京大学史料編纂官補、立教大学講師を経て、國學院大學教授。文学博士、日本古文書学会評議員などを歴任。
『千利休』『太閤秀吉の手紙』『明智光秀』『日本合戦全集』『淀君』など多数の著書があり、NHK時代劇ドラマの時代考証も担当。

本書は「信長は桶狭間の出陣に際して、自分を鼓舞するかのように「敦盛」を舞った。彼は自分を奮い立たせるすべを知っていたのだ。そしてそれが同時に部下を惹きつけ、結束させる演出となっていることも。一見的外れに見える行動も、すべて“天下盗り”への計算ずくだったのである。野望実現への執念に燃え続けた男の、本当の凄さ、強さへの秘密を鋭く抉る。 」というもの。

戦国史の重鎮が織田信長の人生を概観した一冊。基本的には史料に基づいた考察がなされており、信頼のおける内容と言える。しかし、いかんせん古い書き物であること、氏の史料の取捨選択が厳密ではないこと、などちょっと一時代前という印象が拭えない。ノンフィクション小説ぐらいの気持ちで通読するのが妥当であろう。

なお、本書は氏の没後に刊行されているから、書き下ろしではないのだろう。何かの連載の寄せ集めなのか?その点は同じような記事が重複して載せられている点からも感じられる。

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城と古戦場

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