『日本史の争点』

和歌森太郎 編

毎日新聞社 刊

昭和43年10月20日初版 300円

評 価
★★★

編者・和歌森太郎氏(大正4年6月13日-昭和52年4月7日)は、古代史研究の大家。民衆史・修験道史の権威。都留文科大学学長。東京教育大学名誉教授。

本書は「3000年におよぶ日本歴史について、疑問の点が指摘され、論争が続いている。この日本人の歴史の争点を純粋に学問的に鋭く究明する。」というもの。

昭和三八(1963)年一月から同年十月の間、毎日新聞夕刊で連載されていたものを纏めた一冊。当時の反響は大変大きかったと編者は述べておられる。

 

・日本人は、いつ、どこから来たか     和歌森太郎(東京教育大教授・文博)
・「邪馬台国」はどこか            和歌森太郎
・法隆寺は再建か非再建か         町田 甲一(東京教育大教授)
・薬師寺は白鳳か、天平か          町田 甲一
・東大寺の大仏はどういう意味のものか  井上 薫 (大阪大教授)
・古代国家は奴隷制だったか        門脇 禎ニ(奈良女子大教授)
・エゾとアイヌは同じか            田名網 宏(都立大教授)
・封建制はいつ成立したか          和歌森太郎
・なぜ鎖国したか                中田 易直(中央大教授)
・明治維新は、いつからいつまでか     田中 彰 (北海道大助教授)

から成り、それぞれの研究史が掲載されている。
古い書籍であり、明治から昭和初期の学説の列記され、往時の日本史の争点が明らかとなる。

その中身は、実に学術的で、昭和初期の歴史学の水準を知ることができる興味深い一冊であった。同様の趣旨のもので、戦国史を専門に扱う書籍があったらぜひ購入したいところである。

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