『信長公記』

太田 牛一 著
(榊山 潤  

教育社 刊

1997年8月初版

評 価
★★★★★

訳者・榊山潤(さかきやま じゅん、1900年11月21日 - 1980年9月9日)は、日本の作家。神奈川県出身、本名は源蔵。歴史小説を得意とし、代表作に『歴史』『毛利元就』。囲碁にも関心が深く、関連する著作も多い(『Wikipedia』)。

『信長公記』は、織田信長の一代記。江戸時代初期に原本が成立。信長の幼少時代から足利義昭を奉じて上洛した1568年(永禄11年)までを首巻とし、上洛から本能寺の変が起きた1582年(天正10年)までの記録が全16巻にまとめられている。著述姿勢は真摯であり、一部錯綜が認められる箇所もみられるが、文書上から確認される事跡を正確に記しているため、史料としての信頼が高く、信長期の事情を知るには無くてはならない史料とされている。また、軍記物の傑作ともされる(『Wikipedia』)。

本書の翻訳にあたっては、奥野高広岩沢愿彦校注『信長公記』(昭和44年角川文庫)等を参照されてたらしい。

『信長公記』は言うまでも無く、一級の史料である。戦国史の権威だった高柳光壽氏も「誤りもあるが、一応は採用できる良質の書」である旨評価されている(『人物叢書 明智光秀』)。

そのとおり、生々しい戦国時代、織田信長の一生が活写されており、大変面白い書籍である。しかもその内容がほぼ史実だというのが嬉しい限りである。
また、その時々の逸話が挿入されており(相撲大会、不届き人の成敗、安土宗論、馬揃、御爆竹、左義長など)、大変興味深い。

いずれにせよ、素晴らしい読み物・史料であって、一読の価値は非常に高い。

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