『三国志』

-神仙と妖術の謎-
 

市川 宏 監修

青春文庫 刊

2001年2月20日初版 505円

評 価

監修者・市川宏氏は、1937年群馬県に生まれる。東京都立大学大学院修了。法政大学名誉教授、法政大学非常勤講師、跡見女子大学非常勤講師。「中国現代小説」同人。古典・現代中国文学専攻。

本書は、
 「淫祀邪宗」(インチキ宗教)を禁止した魏の曹操もまた、神仙への憧れを抱いていた! 神仙思想・・、それは当時の中国人の常識であった。三国時代への口火を切った太平道、五斗米道が信奉する教義とは?呉の孫策を呪い殺した道士・于吉。諸葛孔明が祈った泰山府君とは? 政争と戦争の三国志的世界の底を流れる精神世界に触れる。本書は『三国志』の英雄や、歴代の皇帝たちを駆り立てた神仙思想の知られざる一面に迫る。
というもの。

三国時代前夜、権力者たちの神仙思想、『三国志』と神仙の謎、神仙から道教へ、「不老不死」への道から成る。

中国文学の専門家の著作ということで、学術的なものを期待したが、実は「監修」に過ぎず、誰が書いたのかはっきりしない。内容的には『演義』などの”小説”の記述に拠るところも少なくなく、本書から三国時代の史的事実を汲み取ろうとするのは無理があるように感じられた。
小説を敷衍させて史実のように書かれている気がして、読破する意欲喪失との戦いであった。

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城と古戦場

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