安国寺恵瓊

人物叢書

河合正治 著

吉川弘文館 刊

昭和34年7月31日(初版)
153ページ 1,350円(新版1版価格)

評 価
★★★★

著者・河合正治氏は、大正三年三重県に生れる。

広島文理科大学史学科卒業、広島高等師範学校教授、広島大学教授、福山大学教授を経て広島大学名誉教授。文学博士。平成二年歿。『毛利元就のすべて』『安芸毛利一族』『毛利氏の研究』

本書は、「豊臣秀吉の天下統一を授けたものに僧侶安国寺恵瓊があることを知る人は少ない。東福寺の住持で一方位予六万石の大名になった幅の広い人生を持ち、毛利氏の外交僧として敏腕を揮い、転換期を泳ぎながら、ついに関ケ原の役に石田三成・小西行長らとともに西軍の主謀者として処刑される波瀾の一生を、確実な史料によりその全貌を描く。 」というもの。

安国寺恵瓊が復興したという「安国寺不動院」のホームページには、「不動院が安国寺恵瓊の350回忌の時に広島大学文学部の魚澄惣五郎教授にお願いしたもので、当時教授の門下生であった河合正治師の著作。」と記されている。

いずれにせよ、中国毛利氏研究の第一人者による書籍である。『人物叢書』であり、大変信用の置ける専門書となっている。

戦国史を毛利氏の面から観た書籍は多くあるが、安国寺恵瓊を中心に観察すると、また違った中国地方の歴史が露わになってくる。
豊臣秀吉時代から関が原の合戦まで、安国寺恵瓊と毛利氏がどのように活動してきたのか、本書はとても興味深いものであった。まず買って損はないであろう。

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城と古戦場

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