『朝倉義景』

人物叢書

水藤 真 著

吉川弘文館 刊

昭和56年10月1日(初版)
235ページ 1,100円

評 価
★★★

著者・水藤 真氏は、1945年愛知県生まれ、1970年東京大学文学部国史学科卒業、国立歴史民俗博物館教授等を経て、東京女子大学教授。
専門分野:博物館学、日本中世史。1970年5月文学士(東京大学)、1995年4月文学博士(東京大学)。
主著に『絵画・木札・石造物に中世を読む』『木簡・木札が語る中世』『戦国の村の日々』『片隅の中世』『播磨国鵤荘の日々』『棟札の研究』『博物館学を学ぶ』。

本書は、「戦国時代の100年間、北陸越前に君臨した朝倉氏が、信長の天下統一の中で滅亡していく様を明らかにする。関係史料を博捜し、義景の領国統治・信長との戦い、外交等の史実を探り、かつその人間性や教養をも究め、発掘調査による新知見を加えて描く。従来知られなかった一戦国大名の生涯を、総体的に把握した義景の本格的な伝記。 」というもの。

悲哀の武将・朝倉義景の伝記本である。古い書籍であるが、現在でも義景だけを扱っている本は数少なく貴重である。

義景の生涯、朝倉氏の出自と政治、一乗谷の遺跡など、一通りのことが記述されており、とてもコンパクトにまとめられている良書である。出典の明記が完璧でない点が残念に思われるが、朝倉氏の基本書と言うことができよう。

しかしながら、各史料や一乗谷遺跡から、その行動を眼前に蘇えらすことのできる朝倉義景に、何とも言えない魅力を感じてならない。本書を読み、じっくりと一乗谷を散策することは、日本人としてこの上ない贅沢であろう。

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城と古戦場

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