『秀吉・英雄伝説の軌跡』

-知られざる裏面史-
 

津田 三郎 著

六興出版  刊

平成3年6月25日初版 1,400円

評 価
★★

著者・津田三郎本名:樋口 雄介、1933年 - 2011年11月11日)氏は、日本の作家。東京府出身。中央大学卒業。新聞記者・雑誌編集者を経て作家活動に入る。1979年小説『雑兵物語』で第1回1000ドル賞を受賞。2011年11月11日、京都市東山区の自宅で火災のため死去。78歳没(『Wikipedia』)。

本書は、
 戦国乱世を駆けめぐり天下統一を成し遂げた豊臣秀吉―。しかし、波乱に満ちた生涯を閉じてからも、その永遠の眠りは掻き乱され、数奇な道を歩み続けた。はじめは〈神〉、豊臣氏没落後は、徳川幕府による豊国神社の破却。一方、『太閤記』がつくられ、〈庶民の英雄〉として熱烈に迎えられる。明治時代になれば〈国家の英雄〉、そして、太平洋戦争後は〈侵略者〉。時の流れに翻弄される「死後の英雄像」に焦点をあて、その希有の変転を未刊史料を駆使して綴った歴史ドキュメント。
というもの。

没後の豊臣秀吉の伝承・伝説の軌跡が記載されていると期待して購入に至った。

しかしながら、そのほとんどは、秀吉の墓所・豊国神社に関するものであり、これらが江戸時代に廃れ、人々から忘れ去られ、その後、明治時代に復興された旨の検討が為されている。
それは一応、時代時代の日記などに拠っており、信頼できそうに見える。

こういった事項に興味のある向きであれば興味深く読めるであろうが、秀吉に関する伝承がどのように現代まで続いてきたのか、変化してきたのか、を史料的に求めるのであれば、本書はそれに応えてはくれないだろう。

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城と古戦場

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