『菅原道真』

人物叢書

坂本 太郎 著

吉川弘文館 刊

昭和37年11月15日(初版)
178ページ 1,550円(平成6年版)

評 価
★★★

著者坂本太郎氏(1901年10月7日 - 1987年2月16日)は、日本の歴史学者。東京大学・國學院大學名誉教授。文学博士(1937年・東京帝国大学)。専門は日本古代史。静岡県出身。太平洋戦争終戦直後の混乱した東京大学国史学研究室の再建と、東京大学史料編纂所での史料編纂事業の復活および興隆に尽力した(『Wikipedia』)。

本書は、「学問の神「天神様」に対する信仰は、伊勢や八幡信仰などとともに脈々と日本人の心に波打っている。しかしながら、天神様が菅原道真であることや、道真その人については、どれだけ知られているであろうか。本書は、のちのいわゆる天神伝説を取除き、真実の道真像を丹念に叙述した史学界の碩学による道真伝の定本をなす名著である。 」というもの。

日本古代史の権威による菅原道真の伝記である。
道真は「学問の神様」として広く人口に膾炙しているが、その具体的な生涯というのはほとんど知らなかった。そのために購入した一冊である。

今から千年以上も前の人物であるが、彼自身が残した書物や当時の史料はかなり残っているらしく、相当その実情に迫ることが可能らしい。

そうした信頼の置ける一冊であり、道真の基本書であることに疑いはないだろう。

著者曰く、
天満天神といい、菅原道真といえば、子供でも知らぬ者はなかったが、今は多くの人々に縁遠い存在となったようである。しかし、天神の社は各地にあり、天神町も多くの都市に存在するという現実には、だれも目をおおうこができない。

「通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの 細道じゃ 天神様の細道じゃ ちっと通して くだしゃんせ ご用のない者 通しゃせぬ。」

のかわいい童謡に、幼年の日を思い起こす人も少なくないであろう。どうして天神は、過去のわれわれの生活に、このように深い関係をもったのであろうか。それを考え直すことは、必ずしもひま人の遊びとは言えないであろう。

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