『数学の思想』

 

村木 全、茂木 勇 著

NHKブックス  刊

昭和41年5月25日初版
258ページ 600円

評 価
★★★

著者・村木全(むらた・たもつ)氏は、1924年兵庫県生まれ。2008年歿。専門は数学史・数理哲学者、北海道帝国大学理学部卒。立教大学教授、名誉教授、桃山学院大学文学部教授、フランス国立科学研究センター研究員。国際科学史アカデミー会員。

茂木勇氏は、1919年茨城県生まれ。2009年歿。専門は微分幾何学。東京教育大学助教授、教授、カナダ国サスカチュワン大学客員教授、筑波大学教授、同副学長、文教大学教授、同大学学長。日本数学教育学会名誉会長。

本書は、以下の構成から成る。

現代数学とはどんなものか。西欧文明をささえてきた数学の根底にある思想や歴史をたどり現代数学のあるべき姿を探る

第Ⅰ部 その底に流れるもの  村田全
Ⅰ 学問が数学となる
Ⅱ ユークリッドへの道―論証について―
Ⅲ 零が使われるまで―記数法について―
Ⅳ 不可能の証明―記号の方法について―
Ⅴ 数学的無限論の問題
Ⅵ 微分積分学への道―一つの記号的無限小数学―
第Ⅱ部 現代数学の背景  茂木勇
Ⅶ 数と図形
Ⅷ 集合と構造
Ⅸ 現代に生きる数学

また、『零の発見』で著名な、吉田洋一氏(埼玉大学教授)は、次の推薦文を寄せている。

「数学ブーム」という言葉さえ耳にするほど、世間では数学に対する関心が高まっている。そのくせ、一方では〝数学〟ときくと、すぐさま顔をしかめる人がまだまだ多い。そういう人達も、この本を読めば「数学はそんなにいやらしいものではなく、なかなか面白い学問だ」と思うようになるだろう―と私はひそかに期待している。

数学史を分かりやすく解説した一冊である。
ただ、数学史に偏重した内容ではなく、数学に興味がある一般人に対する、教養的な入門書といえるであろう。
数学が大の嫌いだった私でも、数式のページを飛ばして読んでも、ある程度の理解が可能な、親切な本である。
現在では入手困難かも知れないが、人生を奥深くするために、本書から、数学の歴史を知ってみるのも悪くはないだろう。

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