『山本勘助』

 

平山 優 著

講談社現代新書  刊

2006年12月20日初版
221ページ 720円

評 価
★★

著者・平山 優(1964年1月10日生)氏は、東京都出身。立教大学大学院修了。山梨県立中央高等学校教諭、山梨大学非常勤講師、山梨県史編さん室主査、武田氏研究会、中世史研究会、戦国史研究会、織豊期研究会、山梨郷土研究会会員。武田氏研究会副会長。
戦国武田氏を中心とした研究活動を精力的に行なっている。名著に『川中島の戦い』。

本書は、
稀代の軍師の業績を日本で初めて完全再現!武田信玄の軍師として名高い山本勘助は実在しなかった実在していてもさほどの人物ではなかった、との定説に挑み、資料「甲陽軍鑑」を再評価し勘助の実像を明かす。戦国最強、風林火山。その礎を築いた「軍師」が武田信玄に授けた哲学を初めて克明に再現する決定版。
というもの。

山本勘助は、『甲陽軍鑑』にしか見えず、架空の人物であるとの説が有力であった。その後、『市川文書』が公開され、『甲陽軍鑑』の伝えるような活躍はしなかったろうが、信玄の側近くに仕えた者の中に、存在したことは事実らしい、と言われるようになったが、その定説は見ない。

そのような中で、山本勘助一本の専門書を記すことは、著者が前提として述べておられるとおり、相当に困難な仕事だと思われ、さらには、『甲陽軍鑑』に偏重した内容にならざるを得ないもの当然であろう。

しかしながら、本書は、ほとんど『甲陽軍鑑』の抜粋とも言えるような状況であって、少し飽きが来てしまったのが本音である。
昭和60年に
上野晴朗氏が著された『山本勘助』を超える一冊には、残念ながらなっていない。

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城と古戦場

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