『織田信長合戦全録』

桶狭間から本能寺まで

 

谷口克広 著

中公新書 刊

2002年1月25日(初版)
301ページ 840円

評 価
★★★

谷口克広氏は、1943年北海道室蘭市生まれ。横浜国立大学教育学部歴史学科卒業。横浜市役所勤務などを経て東京都教職員。港区立港南中学校教諭。専攻は日本戦国時代史。『織田信長家臣人名辞典』『殿様と家臣』『戦史ドキュメント秀吉戦記』『信長の親衛隊』など。

本書は、「家督を継いだ十九の年より本能寺に没するまで、織田信長は四方の敵と戦い続けた。初期には、劣勢を覆した桶狭間の戦いのように少数精鋭の部隊を自ら率いて戦い、後には、浅井・朝倉氏攻めや対本願寺戦のように、羽柴秀吉らの部将を配して多方面にわたる戦線を同時に指揮した。際だった戦巧者ぶりを示す戦略や戦術への考察も併せ行い、天下統一の基礎を作った信長のすべての戦いをたどる。」というもの。

その名のとおり、織田信長の戦いがほぼ網羅され、略記されているもの。しかも新書サイズであり、便利な一冊である。

印象としては、史料に基づいて記述されているようではある。
しかし、どこまで史料を厳選しているのかは不明である。出典を明記している所としていない所があって、その違いもよく分からない。『総見記』『武功夜話』などが採用されている点も若干の不安を感じる。

本書に書かれている事がすべて史実だと鵜呑みにするのは危険かも知れない。

著者曰く
「ただ、一つだけは認めていただきたい。それは、私がずっと続けてきた基本姿勢、つまり良質の史料だけにこだわって書いたものということである。だからこの本は、これから信長の合戦を研究する際の、少なくとも「叩き台」にはなるだろうと思う。」

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城と古戦場

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