『武田二十四将伝』

 

坂本 徳一(著)

新人物往来社 刊

昭和55年3月25日(初版)
284ページ 2,000円

評 価
★★★

著者は、大正15年仙台市生まれ。旧制目黒無線高工卒。新聞記者生活27年。山梨日日新聞社文化部長を経て、同社東京支社編集部長。大衆文学研究会会員、山梨郷土研究会会員。

本書は、武田信玄の家臣団として有名な”二十四将”を紹介したもの。”二十四将”という名称は江戸時代の創作だが、信玄にこれら武将に代表される有能な家臣が多数いたのは事実である。

本書では、武田典厩信繁、武田刑部少輔信廉、一条右衛門大夫信龍、穴山玄蕃信君、小山田左兵衛尉信茂、板垣駿河守信方、内藤修理亮昌豊、馬場美濃守信春、秋山伯耆守信友、三枝勘解由守友、甘利備前守虎泰、高坂弾正忠昌信、土屋右衛門尉昌次、飯富兵部少輔虎昌、山県三郎右兵衛尉昌景、原隼人佑昌胤、小幡豊後守昌盛、真田弾正忠幸隆、真田源太左衛門尉信綱、山本勘助晴幸、小幡山城守虎盛、多田淡路守満頼、横田備中守高松、原美濃守虎胤の伝記が掲載されている。

いずれも大変魅力的な武将たちで、興味深く読むことが出来る。ただし、史料は『甲陽軍鑑』『甲斐国志』などに拠ることが多いらしく、どこまで史実かは分からない。そもそもこれらの武将に関する確実な史料は乏しいのであろう。

しかし、史料の限界はあるにせよ、大変よく纏められた一冊であり、辞書的にも活用できる書物になっている。ただ、絶版になって久しく、入手が困難かも知れない。

著者曰く、
「下克上の乱世の中で栄華を咲かせ、やがて民衆から見放されて滅んでゆく武田三代の興亡の変遷を二十四将それぞれの境涯に焦点をしぼって一将、一将追跡し、執筆したことで、より鮮明に人間社会の構造が理解できたような気がする。」

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