『豊臣秀次』
-「殺生関白」の悲劇-
小和田哲男 著 |
PHP新書 刊 |
2002年3月29日(初版) |
評 価 |
著者は1944年静岡県生まれ。早稲田大院卒、静岡大教授。著書に『桶狭間の戦い』『三方ヶ原の戦い』『戦国合戦事典』『徳川秀忠』『明智光秀』『戦国武将』など多数。 本書は、「千人斬りなどの悪行、叔父・秀吉への謀反の企て……果たしてこれらは真実なのか? かなり評判の悪い豊臣秀次だが、その伝記本としては貴重である。 ただ、藤田恒春氏や諏訪勝則氏らの、先行する諸論文がかなり参照・引用されている。また、『石田三成』と同様に、通説を覆すことに主眼が置かれすぎの気がする。 著者は「贔屓のひき倒しになることだけは避けたい」(242頁)と言ってはいるが、太田牛一『太閤さま軍記のうち』に書かれている秀次の悪行の数々について、「史料としての信憑性は高いわけであるが、秀吉の行為を正当化するために、ことさら秀次の悪行をでっち上げた感がある」(233頁)と述べ、都合よく解釈しているきらいが否定できない。 著者曰く |