『「人望」の研究』

  

小和田哲男 著

ちくま新書 刊

2001年8月20日(初刊)
224ページ 735円

評 価
★★★

著者は、1944年静岡県生まれ。早稲田大院卒、静岡大教授。著書に『桶狭間の戦い』『三方ヶ原の戦い』『戦国合戦事典』『徳川秀忠』『明智光秀』『戦国武将』など多数。
中世日本史の研究者として著書が多数あり、マスコミへの露出度も高く、この分野では第一人者とされている。

本書は、「人望」とはいったい何だろうか? リーダーシップやカリスマ、単なる人気とも違うようだ。日本史の人物にヒントを探り、さまざまな角度からその本質に迫る。「人望」―この不思議に魅力的な言葉。これはいったい何だろうか?単なるリーダーシップでもなく、人気やカリスマとも違うようだ。また、わが国特有のものなのか、いつの時代にも要請されるものなのか?これまで、どの組織でも漠然と話題にされてきた「人望」について、日本史のなかから、あらゆる切り口によって、その本質を探ろうと試みるビジネスマン待望の一冊。というもので、

第1章 「人望」は人気ともカリスマともちがう
第2章 「人望」の要件は何か
第3章 人を動かす「人望」とは
第4章 なぜこの人に「人望」がないのか
第5章 「人望」は地位や肩書きではない
第6章 現代人が「人望」から学ぶもの

から構成されている。

小和田氏は、哲学者や文化人類学者ではなく、歴史学者である。したがって、「人望」というものを、形而上学的にではなく、実在の人物の生き様を通して、実証的に分析されている。

中世から現代まで、世界中の幅広い人物を概観して、「人望」の有無を検討し、その意義を述べている。こう書くと難しい内容にも思えるが、いたって読みやすい書になっており、気楽に通読できる。

まあ、本書によって「人望」という概念の深遠は解明されないが、実際に人望があったであろう人物、なかったであろう人物を俯瞰して、何となく生き方の参考にはなるかも知れない。

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