『「人望」の研究』
小和田哲男 著 |
ちくま新書 刊 |
2001年8月20日(初刊) |
評 価 |
著者は、1944年静岡県生まれ。早稲田大院卒、静岡大教授。著書に『桶狭間の戦い』『三方ヶ原の戦い』『戦国合戦事典』『徳川秀忠』『明智光秀』『戦国武将』など多数。 本書は、「人望」とはいったい何だろうか? リーダーシップやカリスマ、単なる人気とも違うようだ。日本史の人物にヒントを探り、さまざまな角度からその本質に迫る。「人望」―この不思議に魅力的な言葉。これはいったい何だろうか?単なるリーダーシップでもなく、人気やカリスマとも違うようだ。また、わが国特有のものなのか、いつの時代にも要請されるものなのか?これまで、どの組織でも漠然と話題にされてきた「人望」について、日本史のなかから、あらゆる切り口によって、その本質を探ろうと試みるビジネスマン待望の一冊。というもので、 第1章 「人望」は人気ともカリスマともちがう第2章 「人望」の要件は何か 第3章 人を動かす「人望」とは 第4章 なぜこの人に「人望」がないのか 第5章 「人望」は地位や肩書きではない 第6章 現代人が「人望」から学ぶもの から構成されている。 小和田氏は、哲学者や文化人類学者ではなく、歴史学者である。したがって、「人望」というものを、形而上学的にではなく、実在の人物の生き様を通して、実証的に分析されている。 中世から現代まで、世界中の幅広い人物を概観して、「人望」の有無を検討し、その意義を述べている。こう書くと難しい内容にも思えるが、いたって読みやすい書になっており、気楽に通読できる。 まあ、本書によって「人望」という概念の深遠は解明されないが、実際に人望があったであろう人物、なかったであろう人物を俯瞰して、何となく生き方の参考にはなるかも知れない。 |