『関ヶ原合戦のすべて』

  

小和田哲男 編

新人物往来社 刊

昭和59年10月15日
260ページ 2,000円

評 価
★★

編者は、1944年静岡県生まれ。早稲田大院卒、静岡大教授。著書に『桶狭間の戦い』『三方ヶ原の戦い』『戦国合戦事典』『徳川秀忠』『明智光秀』『戦国武将』など多数。
中世日本史の研究者として著書が多数あり、マスコミへの露出度も高く、この分野では第一人者とされている。

新人物往来社でシリーズ化されている「~のすべて」の一冊。
このシリーズすべてに言えることだが、共著であるがゆえに、それぞれの研究・執筆スタイルに差異が見られる事、論文の寄せ集めのような形で一貫した記述になりにくい事が難点として挙げられる。

関ヶ原の戦いに関しては、意外にも、しっかりとした歴史書がほとんど無い。現在出ている多くの書物は、史料をどこまで精査したのか疑問であるし、参謀本部『日本戦史関原役』をそのまま受け継いでいたり、『関原軍記大成』あたりを丸写しにしている。
一部に真摯な書籍も見られるが、合戦を総括的に網羅したものは、まず見当たらない。

そのような状況の中で、少しの期待をもって購入したのが本書であった。

しかし、その期待は簡単に気泡と帰した。肝心の関ヶ原合戦の説明は、ほぼ上記のレベルと同一である。その他にもいろいろな論稿が掲載されているが、関ヶ原に関連する城郭と武将が列記され、それに多くのページが割かれているには閉口した。しかも出典の明記など、まったくと言っていいほどない。

唯一面白かったのは、有名な『おあむ物語』の説明をしている水江漣子氏(当時文教大教授)の「関ヶ原と女性たち」の8ページほどであろうか?

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城と古戦場

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