『淀君』
-人物叢書-
桑田忠親 著 |
吉川弘文館 刊 |
昭和33年1月20日(初版) |
評 価 |
著者・桑田忠親氏は、戦国史研究の大家であり、泰斗・高柳光寿氏と並び評される歴史家であった。
明治35年生まれ。大正15年國學院大學卒。東京大学史料編纂官補、立教大学講師を経て、國學院大學教授。文学博士、日本古文書学会評議員などを歴任。 本書は、言わずと知れた淀殿の伝記本。
著者の桑田氏は、戦国史の重鎮だったが、特に豊臣秀吉、淀殿、千利休の研究では権威であった。 なお、「淀君」という名前は当時の史料には一切出てこないという。当時は「淀殿」「淀の女房」「二の丸殿」「西の丸殿」と呼ばれていた。 「君」というのは江戸時代に付けられたもので、情婦・淫女を意味するものだという。(この点は小和田哲男博士が主張するところだが、異説もある。桑田氏は本書では、その意味までには言及していない。) その点、筆者は次のとおり述べておられる(はしがき抜粋) |