『伊達政宗の手紙』

 

佐藤 憲一 著

新潮新書 刊

1995年7月25日(初版)
208ページ 1,000円

評 価
★★★

著者・佐藤憲一氏は、1949年宮城県生まれ。東北大卒。仙台市博物館学芸員、同館学芸室長、仙台市編纂専門委員。『図解伊達政宗』など。

本書は、意外な新事実、独眼竜政宗は筆まめな気配り人間だった。伊達家の存亡をかけた豊臣秀吉との会見直後の書状、朝鮮の戦場から母に送られた国際便、小姓への愛の告白や家臣への詫び状など、新史料をもとに、歴史の表舞台からは窺い知れない、人間味あふれる姿に迫る。伊達家存亡をかけた豊臣秀吉との会見直後の書状、小姓への愛の告白や家臣への詫び状など、新史料をもとに筆まめな伊達政宗の、歴史の表舞台からは窺い知れない、人間味あふれる姿に迫る。」というもの。

実際の伊達政宗の書状を示して、そこから垣間見られる彼の人物像に迫るもの。通読すると、実に政宗が筆まめだったことが分かる。そして、「何事も自分でやらなければ気がすまない性格」だったことも見えてくる。彼のような戦国大名が、本当に細かいことまで自筆で指示しているのが興味深い。そして、このような史料群が残されているのもありがたい事である。

本書ほど、伊達政宗の人柄を端的に知ることができる一冊は無いかも知れない。

著者曰く、
「伊達政宗の手紙が今日まで多く残った背景には、彼が認めた手紙の絶対量の多さがあることは言うまでもない。しかし、それだけではないように思う。受け取った本人が、あるいは子孫が大切に扱った結果、ということもあるのではないか。長年、伊達政宗文書を探訪してきて思うのは、それの扱われ方である。大切に保管されている場合が多い。なぜか?政宗の手紙には、心がこもっている、人柄が滲み出ているからだと思う。受取人の琴線に触れる何かがあるのである。捨てるのをためらわせるものが。」

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城と古戦場

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