三木城（兵庫県三木市上の丸町）は、室町時代の十五世紀後半に別所則治によって築かれ、以後別所氏の居城となりました。

天文七〜八年（1538〜39）に山陰の戦国大名尼子詮久（晴久）、天文二三年（15544）には三好長逸や三田の有馬氏に攻められましたが、落城は免れています。天正六年（1578）五代目城主別所長治のとき、織田信長の家臣羽柴秀吉の軍に包囲され、一年八ヶ月に及ぶ兵糧攻めに遭い、天正八年（1580）一月十七日、城主一族は領民の命を救うために自刃して三木城を開城しました。

「今はただ　うらみもあらじ　諸人の　いのちにかはる　我身とおもへば」

その後は羽柴秀吉はじめ家臣の杉原氏・中川氏などが城主として次々と入れ替わりました。

江戸時代になって、元和二年（1616）小笠原忠真を領主とする明石藩に編入され、元和三年（1617）に幕府による一国一城令により廃城となりました。このとき、三木城の資材は明石城の建築部材に使用されたと伝えられています。

当時の城の規模は、本丸（上の丸公園）、二ノ丸（図書館・美術館周辺）、新城・鷹ノ尾城（市役所周辺）などからなり、東播磨随一の要害でした。また南に位置する雲龍寺周辺も三木城の一角であったと考えられています。この雲龍寺には別所長治夫妻の首塚があり、毎年一月十七日の命日には、長治公を偲んで法要が行われ、兵糧攻めによる飢えから、籠城した兵士が壁土の藁を食べたという言い伝えにならって藁に見立てたうどんが振舞われます（『城址案内板』）。

遺構はあまり無いが、案内板などから城域は広大だったことがわかる。数々の武将の魂が交錯した場所として、思いを馳せた。